ほら、思った通りじゃないか。本当に、嫌になるよ。





 何となく、そんな気がしてた。と言えば、嘘じゃない。


 朝、起きてみれば、ガランッとした部屋。一人しかいない空間。


 全ての家具が口止めされたかのように、黙り込んでいる。


 何だよ全員、私の味方、してくれないわけ。


 せっかく良い所まで来ていたのに、双六でスタート位置に戻されたような無気力感。


 サイコロに、裏切られた。





「朝ご飯、食べなかったのか」





 テーブルに残されたパンは硬くなっている。


 昨日の夜に余ったカボチャシチューは手付かずで、冷たいまま。


 朝から何も食べないと、その日は力が出ないのに。


 だからと言って昼とか夜に食べ過ぎれば、太る。


 やっぱりあいつは、馬鹿なまま。


 そして私もやっぱり、馬鹿のまま。


 静寂の空間になんて、慣れていたのに。独りでいることを望んでいたのは、私だ。


 それなのに、どうしてこんなに――。










 飼い犬に逃げられた。


 いや、この場合は飼い狼か。


 帰巣本能なんてあったっけ。あんな一匹狼に。


 非日常が日常で、日常が非日常になっていたなんて、滑稽過ぎて喜劇にもならない。





「バカヤロウ、宿泊代くらい置いてけ」





 あっ、なんか泣きそうだな。私。



 こんなにもあっさりな終わり方って、有りなのかなぁ。


 ねぇ、ひぃ祖母様。