皇帝色を 引き裂いた髪





魔王様 魔王様と

平伏す愚民 一瞥し

濁る空 寂しい玉座

誰も隣に いやしない



指を振れば カタストロフィ

パンドラの箱は 鍵が壊れて

世界を握る この右手

左手には握る モノなどない



独りぼっちは 嫌なんだ

そう言っても 誰にも聞こえず

置かれた距離 届かない声

しかし涙は 流せない





奉られることは ただの悲しみ





人間の女も 魔物の女も

どちらも大して 変わらない

左手に握る 価値などない

所詮握り 潰されるだろう



その中一人の 暗殺者

脚に潜む 拳銃を相棒とし

刃向かって来た ドレスが靡く

白金の弾丸 黒翼を射ぬかれた





あぁ貴様もか 呟きは届いたようで

憎しみに染まった 瞳は美しく

孤独を宿した 唇は震えて

助けてくれと 言っている





気がしただけな 気がしなかった





頬に触れれば 温かいのに

そんな寂しい 顔をして欲しくない

貴様はいくらでも 変われるはず

なのにどうして こんな所に





こんな独りぼっちの 所にいる





貴様の髪の毛 たった一本

私の外套を 引き裂いた

冥界色の 皇帝の証

二つに割れて 沈黙する



その間から 覗いた虹は―…



首を掴んで 締め上げて

銃を押し付け 撃とうとする

汗の浮かんだ 貴様の喘ぎは

私に 何を言いたいのか



絶叫したいか 喉が潰れるまで

号泣したいか 瞼が溶けるまで

貴様の意志は どこに立ってて

どの地平線に 沈んでいくのか



緩慢な動きで 私が指を伸ばせば

どうなるのか 分かっている上で





弾け跳んだ 首は美しく

一つの孤独を 救い上げた