ほら 空を見上げてみれば

涙色の青 女神が泣いてる

大切な人が 逝ったのだと

双眸を抑えて 歎いている



地上へ降りたった その人は

女神にとって 死んだも同然

二度と逢えない 苦痛の波に

女神は絶叫 胸を掻き毟った



太陽の慰みも 月の助言も

女神の耳には 入らないで

何年何十年と 快晴の空に

干からびた大地 人々は喘ぐ



世界が終わる その寸前に

女神の元へ やって来た男

手には剣 覚悟を宿した瞳

光闇は消え 表情は失せた





 君とは世界が 違うのに

 君が歎けば 僕の世界が

 消えてしまう その連鎖





痩せ細った体 曝しながら

近付く男に 女神は歓喜し

ただ走る体を 貫く刃すら

女神にとっては 関係ない





女神の激情が 世界を潤す

放たれた血潮は 燦燦爛爛

降り注いで 夕暮れを呼ぶ

男は終始 泣いているだけ



太陽は言う これで良かったのか

男は応える こうする他なかった

月は尋ねる それは傲慢であろう

男は笑う それでも良いのだ と



地上は救われ 天上は空っぽ

新たな君主は 深く真っ青な

覚悟を瞳に宿す 愛しい神様

決して彼が 泣くことはない





ポツンッ と落ちた 水滴に

今日も地上は 潤い満たされ

架かる虹の 始点と終点には

神様と女神 背を向け合った