シャンシャン シャリラン

鈴の音


シャンシャン シャリラン

剣の舞





舞台に上がれ 至高の王子

蝶の鱗紛 纏いながら踊り

観客を堕とし 孤独を蝕せ

冒された躯 果てる時まで



姫は見ている 王子の舞を

虹色の天欄 足に跪ずかせ

嗤う顔には 悪魔が宿って

王子を試し 食い潰そうと

瞳に牙が 見え隠れ





一夜限りの 極限ロンド

向けた切っ先が 爛々と

煌びやかな ドレス裂き

フォルティッシモ 刻む





髪に結われた 鈴が鳴く

姫の逆鱗に 触れた王子

観客は潰れ 舞台は崩壊

鬼の形相 凄まじい怒号



流れる王子を 捕まえて

咆哮したが 姫のウロコ

いつの間にか 剥がれて

鮮やかな血 噴き出せば



巨体の胴体 暴れ怒った





急転直下 暗闇の世界

王子の足が 砕かれた

長き尾が揺らり 直立

先には光る 毒の一滴





剣か毒 どちらが早い

区別は付かず 貫通し

苦痛に呻く 王子の声

絶叫に悶う 姫の巨体



共に倒れ 共に平伏す

天蓋の神は 傍観して

どちらにも 味方せず

せせら笑い 見下した



息絶える姫 凍る巨体

王子は虫の息 口の中

溢れる毒血 垂れ流し

心の臓が 止まりゆく



勝者は姫 と神は宣う



笑った王子 双眸を閉じて

満足そうに 死に逝いった

大蛇の巨体 縦に割れれば

中から立ち上がる 姫一人



泣きそうな顔 携えて

姫は王子の 額に接吻

一つ落として 剣と鈴

持って神へ 献上した





藍の星屑 散りばめて

一つの愛が 弾け飛ぶ